便通異常(便秘/下痢)
便通異常とは?
「最近、便秘気味だな」「お腹がグルグル鳴って下痢気味だ」といった経験は、誰しも一度は抱く身近な悩みです。これらの症状は、単なる不快感にとどまらず、様々な病気のサインである可能性も秘めている可能性もあります。そのため、便通異常(便秘・下痢)の原因、種類、そして改善策について、正しく知ることが大切です。
※便通は、人によって回数や便の硬さ、形が異なり、一概に「これが正常」と断言することはできません。しかし、一般的に、排便の回数や便の硬さ、形などが、個人差はあれど、その人にとって通常の状態から大きく外れている状態を便通異常と呼びます。
便秘とは?
便秘とは、排便の回数や便の量が減り、排便が困難になったり、残便感がある状態を指します。便が硬く、排出するのが困難な状態が長く続くことで、腹痛や膨満感、だるさなどを伴うこともあります。
便秘の原因
便秘の原因は様々で、生活習慣や食習慣、ストレス、病気など、様々な要因が考えられます。
食生活
食物繊維が不足した食事、水分不足、刺激物や脂っこい食事の過剰摂取など
生活習慣
運動不足、不規則な食事、ストレス、睡眠不足など
薬剤
下剤、鉄剤、高血圧治療薬など、一部の薬剤が便通に影響を与えることがあります。
病気
大腸がん、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、クローン病、腸閉塞など、様々な病気によって便秘が起こることがあります。
便秘の方の主な症状
- 排便回数が減少する
- 便が硬い
- 排便が困難である
- 残便感がある
- 腹痛や腹部膨満感を感じる
上記のお悩みがある方は、便秘の可能性が高いです。便秘は大腸がんなどの初期症状の可能性もあります。些細なお悩みでも我慢することなく、お早めにご相談ください。
便秘になるとどうなる?
便秘を放置すると、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。
痔
便が硬く、排便時に強い力がかかることで、痔が悪化したり、新たな痔ができることがあります。
大腸がん
長期的な便秘は、大腸がんのリスクを高める可能性が指摘されています。
全身の不調
便秘によって体内に毒素が溜まり、肌荒れ、頭痛、肩こりなど、全身の不調につながることもあります。
便秘の予防と改善
便秘の予防と改善には、以下のことが大切です。
- バランスの取れた食事:食物繊維を豊富に含む野菜や果物を積極的に摂りましょう。
- 水分補給:1日2リットル程度の水分をこまめに摂取しましょう。
- 規則正しい生活:睡眠をしっかりと取り、規則正しい生活を送るようにしましょう。
- 適度な運動:ウォーキングや軽い運動を習慣化しましょう。
- ストレス解消:ヨガや瞑想など、自分に合ったリラックス方法を見つけて実践しましょう。
便秘の治療法
1. 生活習慣の改善
食事
食物繊維を豊富に含む野菜や果物を積極的に摂りましょう。ごぼう、こんにゃく、海藻類などもおすすめです。また、水分を十分に摂取することも大切です。
運動
軽い運動を習慣化することで、腸の蠕動運動を促し、便秘の改善に繋がります。ウォーキングやヨガなどがおすすめです。
規則正しい生活
睡眠をしっかりと取り、規則正しい生活を送ることで、自律神経のバランスを整え、腸の働きを正常化します。
トイレ習慣
排便意識を感じたら我慢せず、トイレに行く習慣をつけましょう。
2. 薬物療法
生活習慣の改善だけでは効果が得られない場合、医師から下剤が処方されることがあります。下剤には、以下の種類があります。
浸透圧性下剤
腸内に水分を引き寄せ、便を柔らかくします。
上皮機能変容薬
ルビプロストン、リナクロチド
胆汁酸トランスポーター阻害薬
回腸での胆汁酸の再吸収を抑制し、大腸内の胆汁酸の量を増加させることで、便をやわらかくしたり、蠕動運動を改善させます。
膨張性下剤
便に水分を含ませ、柔らかくして排便を促します。
刺激性下剤
腸の蠕動運動を刺激し、排便を促します。刺激性下剤は最小限の使用にとどめ、できるだけ頓用や短期間での投与にとどめます。
当院では、患者さまの症状に合わせて適切な下剤を処方します。
3. その他
漢方薬
大黄など、便秘に効果的な漢方薬もあります。
プロバイオティクス
善玉菌を摂取することで、腸内環境を整え、便秘改善に役立つ場合があります。
温罨法
お腹を温めることで、腸の働きを活発にする効果が期待できます。
下痢とは?
下痢(げり)は、便が通常よりも水分を多く含んでいて、排便の回数や量が増加する状態です。通常、便は固形または半固形で、消化されて残った食物の成分が腸内で水分を吸収して形成されますが、下痢の場合はこの水分吸収がうまく行われず、便が水分を多く含んでしまいます。下痢が続くと脱水症状や体調不良を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
下痢の原因
下痢にはさまざまな原因が考えられますが、大きく分けて以下のようなものがあります。
感染症
ウイルスや細菌による感染(例:ノロウイルス、サルモネラ菌、大腸菌など)が最も一般的な原因です。これらの病原体が腸に入ることで、腸内の炎症や腸内フローラの乱れが引き起こされ、下痢を引き起こします。
食事や飲み物
食べ物や水が原因で下痢を起こすこともあります。例えば、脂っこい食べ物、乳製品(乳糖不耐症)、刺激物(カフェインや辛い食べ物)などが関与することがあります。
ストレスや心理的要因
精神的なストレスや不安が腸に影響を与え、腸の動きが不規則になったり、過敏になったりすることで下痢を引き起こすことがあります。
薬剤
一部の薬(抗菌薬、鎮痛薬、胃腸薬など)が腸内の細菌バランスを崩し、下痢を引き起こすことがあります。
消化器疾患
炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)や過敏性腸症候群(IBS)など、慢性的な疾患が原因となることもあります。
下痢の方ってこんな方
下痢が頻繁に起こる方にはいくつかの特徴があります。
急激な腹痛や腹部膨満感を感じることが多い
下痢の前に腹部の不快感や痛みが起こることが多いです。
食後に特に症状が現れる
食事後に下痢を起こすことが多い場合は、食べ物や飲み物が原因である可能性があります。
便の状態が水っぽく、頻繁にトイレに行く
特に水分を多く含んだ便が頻繁に排泄される状態が続く場合は、下痢の症状です。
慢性的に下痢が続く場合は、消化器疾患が疑われることがあります。
長期間にわたる下痢が続く場合、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患などの可能性もあります。
下痢になるとどうなる?
下痢が続くと、以下のような影響が体に現れることがあります。
脱水症状
水分が過剰に失われるため、体内の水分や電解質が不足し、脱水症状を引き起こす可能性があります。これは特に子供や高齢者においては注意が必要です。
栄養不足
便と一緒に栄養が十分に吸収されず、体が必要な栄養素を補えなくなり、体調不良を引き起こすことがあります。
腸内フローラの乱れ
下痢が続くことで腸内の有益な細菌バランスが崩れ、腸内環境が悪化することがあります。これにより免疫力が低下したり、さらなる消化不良を引き起こす可能性があります。
疲労感や倦怠感
脱水や栄養不足、腸内環境の悪化などが重なると、全身のエネルギー不足から疲れやすくなったり、倦怠感を感じることがあります。
下痢の予防と改善方法
下痢を予防したり改善するためには、以下の対策が有効です。
食事の改善
食品衛生に注意し、生ものや汚染された水を避けることが重要です。また、乳製品やカフェインなど、自分の体に合わない食品を控えることも予防に繋がります。
水分補給
脱水を防ぐために、水分補給は欠かせません。スポーツドリンクや経口補水液(ORS)を使用することで、失われた電解質も補うことができます。
ストレス管理
ストレスが原因で下痢が起こる場合、リラクゼーション法(深呼吸、瞑想、運動など)を取り入れて、心身の状態を整えることが大切です。
適切な衛生管理
手洗いや食材の衛生管理を徹底し、感染症を防ぐことが予防につながります。
腸内フローラのケア
プロバイオティクスや食物繊維を多く含む食品(ヨーグルト、納豆、野菜など)を摂取することで、腸内のバランスを整えることができます。
下痢の治療法
薬物療法
止瀉薬(ロペラミドなど)
便の回数を減らすために使用されることがあります。
抗菌薬
細菌感染が原因の場合、抗菌薬を使用することがあります。ただし、ウイルス性の下痢には効果がありません。
腸内細菌の補充
プロバイオティクスを使って腸内フローラを整えることが有効な場合もあります。
食事療法
下痢がひどい時には、消化の良い食事(おかゆ、スープなど)を摂ることが推奨されます。脂っこい食べ物や刺激物を避けるようにします。
点滴治療
脱水症状が重篤である場合には、病院で点滴を受けることが必要になる場合もあります。
下痢が長引く、または血便や高熱を伴う場合は、早めに医師に相談することが重要です。
便通異常になりやすい人
- 高齢者:年齢とともに腸の働きが低下しやすくなります。
- 女性:ホルモンバランスの変化や、妊娠などが便秘や下痢の原因となることがあります。
- ストレスを感じやすい人:ストレスは自律神経のバランスを崩し、腸の働きに影響を与えます。
- 食生活が不規則な人:不規則な食事は、腸内環境を悪化させ、便通を乱すことがあります。
- 運動不足の人:運動不足は、腸の蠕動運動を低下させ、便秘の原因となります。
- 鉄剤を服用している人:鉄剤は、便秘を引き起こす副作用があることがあります。
便通異常の診断と治療
便通異常の診断には、問診、身体検査、そして血液検査や便検査、大腸内視鏡検査などの検査が行われます。治療法は、原因となる病気や症状によって異なります。便通異常は、単なる不快感にとどまらず、様々な病気のサインである可能性があります。特に、血便や体重減少を伴う場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。
梶の木内科の大腸カメラ検査の特徴
1.熟練の内視鏡専門医による大腸カメラ検査
当院では経験豊富な内視鏡専門医が丁寧に大腸カメラ検査を実施しています。細かい部分までしっかり確認し、安心安全に下部消化管内視鏡検査を行います。
2.平日忙しい方でも実施可能な土曜日の大腸カメラ検査
平日に時間が取れない方のために、土曜日の大腸カメラ検査を実施しています。お仕事がお忙しい方や主婦の方などでも受診しやすい体制を整えております。
3.オリンパス社製の高性能内視鏡システム「EVIS X1」導入
オリンパス社製の高性能内視鏡システム「EVIS X1」を導入しています。高精細な画像でより正確な診断が可能となり、胃がんなどの早期発見・早期治療に努めています。
4.快適に受けられる大腸カメラ検査 – 患者さまに合わせた選択肢をご提供
当院では、患者さまお一人おひとりのご希望に合わせて、快適に大腸カメラ検査を受けていただける環境を整えています。鎮静剤を使用しない検査でも、専門医の独自の技術と細やかな配慮により、痛みや不快感を最小限に抑え、リラックスした状態で検査を受けていただけます。また、ご希望の方には鎮静剤を使用した「眠ってできる大腸カメラ検査」のオプションもご用意しております。
5.高性能の内視鏡AIシステムの完備
内視鏡AIは大腸カメラ検査時にAIを使用し高い精度で大腸がんや大腸ポリープを検出することができるシステムです。内視鏡専門医の目とAIの目で見逃しを防ぐことが可能となります。
6.完全個室のテレビ付き待機室・リカバリースペース完備
完全個室の待機室を完備し、プライバシーにも配慮しております。待機室にはテレビも完備しており、院内での下剤服用時にもリラックスしてお待ちいただけます。また、内視鏡検査後はリカバリースペースにて、ゆっくりと回復していただくこともできます。
7.日帰り大腸ポリープ切除
大腸ポリープは、大腸カメラ検査中に発見された場合、その場で切除する日帰り手術が可能です。日帰り手術は入院の必要がなく、経済的や時間的な負担が少なくなります。
8.専門医による潰瘍性大腸炎 クローン病の手厚いフォロー
大学病院においての炎症性腸疾患専門外来の経験がある専門医により、潰瘍性大腸炎/クローン病の治療を行っています。患者さまと医療者が協働で意思決定するShared Decision Making(SDM) のアプローチで、 患者さまの健康と幸福を最優先に考えた医療を提供することを目指しています。
便通異常(便秘や下痢)に関するご相談
便通異常(便秘や下痢)は、生活習慣や食習慣、ストレス、そして様々な病気など、多岐にわたる要因が複雑に絡み合って起こる可能性があります。便通のことで悩んでいる場合は、一人で悩まずに、医師に相談することをおすすめします。当院では、経験豊富な内視鏡専門医が便秘や下痢の診断を実施しております。便秘や下痢は大腸がんなどの重篤な病気の症状である可能性もございます。些細な症状がある場合も可児市にある内視鏡・炎症性腸疾患センター 梶の木内科医院までお気軽にご相談ください。
- この記事の監修者
-
内視鏡専門医 片野 敬仁KATANO TAKAHITO
所有資格
- 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医・指導医
- 日本消化器病学会 専門医・指導医
- 日本消化管学会 胃腸科専門医
- 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医